エンゲージ!

四コマ漫画『がんばった報い』の出典

初出:
2016-02-05

 今Twitter界隈の一部で話題になっている秋月りす先生の四コマ漫画。

 『がんばった報い』というタイトル以外出典が不明で、ファンであればおそらく既刊37冊を誇る『OL進化論』のどこかのエピソードであろうと想像はできるが、さすがにそらで収録巻数や掲載ページを当てられる者はそうは居るまい。

 数少ないヒントとしては、タイトルロゴのひらがな部分がルリール体であること。

 35巻以降はこの部分が丸ゴシックに変更されたので、収録されているとしたら34巻以前。

 更に絵柄的には後期に属するので、34巻から逆順に辿って探すことに。引用には出典を明記しろやと思いつつ幾年月……。

 ありました。19巻のp.108左手側です。

 19巻は2002年5月23日に第一刷発行。

 連載時の掲載誌は、モーニング'01年19号?49号・イブニング'01年9月号?'02年2月号。

 もう15年くらい前に執筆されたのに、ネタが全く古びていないのは社会として良いんだか悪いんだか。

 他にも当時そのディープさとヘビーさで猛威をふるった伝説のシリーズ『35歳で独身で』も収録。

 今だとamazonで電子書籍版が安く一括購入できるかもしれないけど、イッキ読みには気をつけてね。

 ……帰ってこれなくなるから。


小説『TOKYO WAR 2 灰色の幽霊』感想

初出:
2015-06-03

 読んだのは映画を見る前。

 結局押井監督がパトレイバーを通じて常に描きたかったのは、レイバーという巨大で役立たずなお荷物を通したときに見えてくる、無防備都市・東京のその時々の姿。だからOVA『特車二課の一番長い日』→P2→TNG『パトレイバー 首都決戦』になっても、画材やタッチを変えただけでモチーフは常に同一。これをセルフカバーとかセルフリメイクと言ってはいけないでしょうか。

 おそらく実写化の話がもっと後になって来ていたら、爆薬/劇薬/粘着剤/煙幕等をそれぞれ搭載した色と形の違う自律型ドローンの群れに雲霞のごとくたかられ、成すすべもなく関節とセンサーを潰され無力化される「桜田門の巨大な走狗」の姿を見られたことでしょう。

 過去の記憶を持ったまま寸分違わず同じセリフまでトレースさせられる所謂リプレイ物としてのシーンで連想したのは、無限に時間が加速して二周めの歴史に入った『ジョジョ』シリーズの『ストーンオーシャン』篇とか、神林長平の筆によるノベライズ版『ラーゼフォン 時間調律師』辺りでしょうか。

 余談ながら未来の記憶を持ったまま人生をどこかの時点からやり直したところで、果たして結果は変えられるものでしょうか? 結局少しばかり先のことを知っているだけで人格・判断力・知性は変わらないのだし、ミッドウェーで大敗しなくても敵国に暗号が解かれていたら結局は……。

 本作でも『あの時と同じだ!』と叫びつつ、結局あの時と同じことしかできない、人の悲しい限界を見ることになります。

 セリフはおろか登場人物までコピーしたような、ある意味レールの上からはみ出すことなく安心して読めるはずの本作の中で、灰原容疑者と同室だった元・女性自衛官から聞き込みしたときの煙草のエピソードだけが妙に生々しかったです。なんか見慣れたマネキンのボディに眼球だけ本物が使われていた、みたいな。もしや共著者による影響なのでしょうか。

 さて本作の疑問点をひとつ。

 別の時間軸上の物語りらしき小説『番狂わせ』では、後継機たる2式AVですら老朽化が著しかったようですが、映像作品としてのTNGシリーズとしてはやはりおなじみの98式AVを外す訳にはいかず、そのせいか小説である本作世界でも98式AVが2013年でも現役です。

 では98式AVが11年前にすでに退役していなかったら、2002年の“状況”当時に二課棟ごと戦闘ヘリに破壊されたはずのレイバーは一体何だったのでしょう? 難を逃れるためにあらかじめ避難させていた? 持ち場を放棄して民間企業の八王子工場に? そんなバカな。

 2002年当時、98式AVはすでに退役して制式パトレイバーの座を後継機の2式AVに明け渡し、データ収集と開発のための実験機として篠原重工八王子工場で余生を送っていたからこそ、被害を免れて再武装し最後の戦いへ、となったはずなので、この辺ちょっと歴史上の辻褄が合わないんですけど、『いんだよ、細けえ事は!』で乗り切るべきなんでしょうか。

 もっともラストシーンの見せ場のためには、コクピットへ背面から乗降する2式AVではなく、正面にハッチのある98式AVでなくてはならなかったのもまた確かなことです。

 やはりかっこいいですからね、戦闘中のコクピットハッチフルオープンって。

 で今回の“状況”の首謀者、作者が興味ないのか言及されていませんが、案外後藤元・隊長だったりして。


登録名は『まちがい電話』

初出:
2007-12-09

 その電話は何年か前に初めて私のケータイにかかってきた。

 050で始まるその番号は、IP電話からの発信を表していた。

 マナーモードにしていて着信に気が付かなかったため、自動的に留守電になっていたメモリーに短く残されていたメッセージは、おそらく関西方面らしいアクセントの、たぶんそれなりに若い女性の声で、引越しの段取りに関する断片のようだった。

 まぁ即座にかけ直すほど深刻な内容でもないし、また今度かかってきたら「番号をお間違えじゃないですか?」くらいは教えてあげようと思って、番号だけを『まちがい電話』として登録しておいたのだが、その後待っている間にかかってくることもなく、しかし気がつくと着信履歴に『まちがい電話』と残っていたことがその後二度ばかりあった。

 その都度「どうしていつもこっちが気がつかないときに限ってかかってくるんだろうなぁ」とは思うもののかけ直すこともなく、そんな番号を登録していた事実自体を忘れていた今日、久しぶりに例の番号が『まちがい電話 16秒間着信』として履歴に残っていた。

 日中とはいえ、こちらは爆睡中のことだった。

 まだこの発信番号が有効で、間違いとはいえ私のケータイにかかってくるところをみると、どうやらIP電話は今日まで解約されることもなく、本来の相手との関係もそれなりに続いているということなのだろう。ごくたまに着信が入ってることを知っているはずなのに、かけ直してこないなと思うことがあるくらいで。

 いつかリアルタイムで着信して会話することがあったら「あなたは何年も前からこの番号に間違えてかけていたんですよ」と教えてさしあげたいのだが、さて次にそんなチャンスがまわってくることはいつのことだろう。

 一度もあったことがないし、どこの誰かも知らないが、こんな世の中だからお互いその日まで、息災でいたいものである。


「先生! 『SFマガジン』がどこにも売ってません」

初出:
2007-09-25

 予定ではもう少し早かったハズだった、待望の『戦闘妖精・雪風』第三部、の不定期連載三回目が本日発売の『SFマガジン11月号』に掲載されました。

 発売日の昼間買いに行ったにもかかわらず四軒ある近所の書店は全滅で、電車に乗ってターミナル駅の駅前テナント内書店でようやっと押えることができました。

 サブタイトルは『さまよえる特殊戦』。今回の語り手はブッカー少佐と、なんとクーリィ准将です。

 同じ現場に居合わせた二人の、互いのカメラから見たモノローグ込みの映像がリアルタイムに交代していくという感じで、なんだか小津安二郎の、例のカメラワークを連想しました。

「ジャムとはなにか、なのだ、ブッカー少佐」
「ジャムとはなにか、ですか、クーリィ准将」

 但し小説に映像はないし、しかもどちらも一人称が『わたし』な上冷静かつ丁寧なモノローグなので、文章からだけでは両者の区別が付きにくく、気が付くといつの間にかカメラが切り替わっているような、そんな奇妙な感じを受けました。

 そしてなぜジェイムズなのに愛称が“ジム”ではなく“ジャック”なのか? それに連なるブッカー少佐の過去が今回ついに明かになりました。うーん、なるほど。

 で、この続きは……というところで次回の掲載は2008年2月号=今年の暮れに発売号の予定です。

 ところで今回の雪風の表紙イラストに載っていた人物の顔、『ブレードランナー』でデッカード役を演ったハリソン・フォードに見えるのは気のせいですか、そうですか。


「先生! “プロファイリング”ではなく“プロファクティング”です」

初出:
2006-09-26

 先日待望の第三部がスタートした神林長平のSF小説『戦闘妖精・雪風』。その第二回目が25日発売の『SFマガジン』11月号に掲載されました。タイトルは『雪風帰還せず』

 今回のシリーズは、誰でもない客観的なカメラからの物語ではなく、基本的にそのときその場にいる一人の人物のカメラから視た物語になっていて、場面が変わるとカメラの持ち主も変わります。

 第一回目はリン・ジャクスン→ロンバート大佐とカメラが渡りましたが、今回は再びリン・ジャクスンのカメラからスタートです。

 あのシーンはOVAの最終巻からかな? なんてのも出てきますが、いいところで「後篇に続く」。

 後篇が読めるのは2007年1月号になりますが、『まだ二ヶ月もある』なのか『もう二ヶ月しかない』なのかはひとそれぞれ。

 とはいえ神林先生以外は『まだ二ヶ月も』派でしょうなぁ。


続・「先生! メイヴ=雪風は一番機です」

初出:
2006-05-27

 この件、案外話題になっていないようですし、そろそろネタバレ云々の時期は過ぎたようなので、きっちり書いておきます。

 私は手紙に署名、アンセル・ロンバート、それから振り返った。知った男が一人立っていた。葛城彰少尉。特殊戦に私が送り込んだ部下だ。第五飛行戦隊の三番機〈雪風〉のフライトオフィサが欠員になっていて後任を探しているのを知った私は、特殊戦の指揮官クーリィ准将に葛城少尉を推薦したのだ。私は少尉に特殊戦内の情報収集を命じて送り出した。とりわけ私は、ジャムがなぜあの三番機に興味を示すのか知りたかった。

(SFマガジン2006年4月号『ジャムになった男』pp.24-25 より引用)

 確かに機体がスーパーシルフだった頃の雪風は周知の通り三番機ですが、FRX00という新しい機体に乗り移り、メイヴ=FFR41という正式な型番を得ると同時に特殊戦第五飛行戦隊は再編され、雪風が一番機になりました。

 そうなった時期は深井零中尉が退役を申し出る前ですから、ロンバート大佐がフライトオフィサの欠員を知る頃にはとうに一番機になっていたハズで、従ってロンバート大佐のこの言葉はあきらかにおかしいのです。

 だがしかし、ここで疑問が。果たして情報軍きっての、否FAF随一の切れ者かもしれないロンバート大佐がそんな初歩的な記憶違いというかミスをするものでしょうか?

 もしかしたら、このロンバート大佐のいる世界は、すでに『グッドラック 戦闘妖精・雪風』世界とは直接つながっていない、われわれの現実とは異なる世界になっているのでしょうか?

 まぁ勿論神林先生の単なる勘違いという可能性もありますが、そういえばそろそろこの続きの二回目@雪風第三部が『SFマガジン』に載る頃ですね。

 誰でも思いつく予想では、次の語り手は葛城少尉だと思いますが、果たして?


「先生! メイヴ=雪風は一番機です」

初出:
2006-02-25

 ファン待望のSF小説『戦闘妖精・雪風』第三部が今日発売の『SFマガジン』4月号からスタートすることになりました。

 一応雪風ネタを扱っている者のひとりとして挨拶ナシという訳には行かないので、早速今日仕事の帰りに買ってまいりました。通常700円くらいのところ創刊600号記念特大号だかで2400円払って。

 巻頭に掲載されたタイトルは『ジャムになった男』。

 ストーリーは、あの人とあのヒトとあのひとが出てきますが、一冊にまとまるときには見出しの件が解決していますように。

 次回の掲載は夏ごろの予定だそうで、さて今回は完結までに何年かかることでしょうか。

#それにしても『SFマガジン』って相変わらず各ページの上の方に見出しというかタイトルが入ってなくて、目次に頼らず適当にパラパラめくって、お目当ての章を捜すのがやりづらい造りになってますよね。これってもしや立ち読み対策?


そんなヒマはない

初出:
2005-08-01

夫「親戚一同を前にして最後に挨拶なんて、人生で二番目にやりたくない仕事だな」
妻「じゃあ一番目は?」
夫「離婚……かな? オイ何だよ、何泣いてんだよ?」

 トップページにある通り、つい先日父が他界した。

 果たして68年という父の生涯は長かったのか? 短かったのか? 家族とはいえ判断に迷うのだが、肺癌とはいえ抗癌剤治療の間ほとんど副作用らしい副作用もなく、最期はまるで温泉旅館のようなゆったりとしたホスピスに入所でき、美人のドクターと美人の看護師に面倒をみてもらい、家族に看取られてやすらかな表情で逝くことができたのだから、それなりに幸せな人生だったと言ってもよかろう。だから私は全く悲しくなかったし、葬儀が終わった今日に至るまでとうとう涙を流すことはなかった。

 実のところ、泣いているヒマなんかない、というのが今の偽らざる気持ちである。

 というのも死者の後始末は当然生者にしかできないのだが、死亡届に始まって、年金と健康保険の停止とか生命保険の申請とか準確定申告とか免許証の返納や電気・ガス・水道・電話の名義変更といった、世帯主だった故人を社会的なつながりから解放して旅立たせるためにしなければならない手続きというのは、実は意外な程煩雑でたくさんあったのだ。

 しかもそれらは“すみやかに”手続きしなくてはならない。遺族が故人の死を悼んでいるかどうかなどということは、システム側にとってはどうでもいいことらしい。

 幸い私は平日の昼間に動けるのでなんとかなるが、もし遺族の誰もが土日にしか休めなかったら、一体どうなったことだろう。個人情報保護法があるとはいえ、こういう手続きを代行してくれる業者というのは存在しないのだろうか?

「たから私がとーちゃんのために泣くのはもう少しあとでね」と、私は鏡に映る『若いときのとーちゃんの顔』に誓うのであった。


“本物”とそうでないもの

初出:
2005-04-09

 一年くらい前からずっと消息不明だったネットの知りあいが、四月一日といういかにもな日に、blogと共に掲示板に帰ってきた。

 らしい……。

 らしい、というのはそのblogも含めた書きこみが、本当にかつて私とも面識のあった当の本人と同一の人物が書いたものなのか? その連続性というか同一性を確かめる術が外部の者にはないためである。

 というか、実は当の本人も自分ひとりでは『自分が自分であること』の証明というのはできない訳で、結局“自称本人”とその“自称本人”を“多分本人だと思っているひと”との関係が開始されることとなったのだが、更にややこしいのはその“自称本人”が開設したらしいblog(以後便宜上Bg1と呼称する)の他にももう一つ、『前のところは制限が多いのでこちらに引っ越しました』という断り書きと共に、Bg1と同一のログを持つblog(以後Bg2)が出現したことである。

 さてこのBg2も、果たして本当に件の“自称本人”が作ったものなのだろうか?

 ちなみにBg1の方にはごく最近の更新が載ってないものの、Bg2への移行に関してはひとことも触れていないので、またしてもBg1とBg2の作者の連続性を証明することはできないし、Bg2が実は“自称本人”でない人物によってBg1の過去ログや画像素材がコピーされ、いかにも本人が言いそうなことをエミュレーションした結果捏造されたものであっても、或いは本当に“自称本人”が書いたものであっても、外部の者にそれを判別することは現時点ではできない。

 仮にもしそれらが捏造だったとして、それが外部にもバレるようなことがあるとしたら、それは本人と外部の親しい者しか知り得ないハズの情報と異なる情報が出たときであろうが、裏を返せばボロを出さない限りはニセモノとばれることもないのだ。

 サテここでふと疑問が。“本物”と“本物ではないが同じ物”があったら、その間に一体どんな違いがあるのか? 本物ではなくても、本物の役割を過不足なく果たせたら、それはもう本物と同じではないのか? と。

 ここで思い出すのは、ごく最近サイトを閉鎖したらしい(見に行ったら消えていた)、もう一人のネットの知り合いのことである。

 サイトのコンテンツのほとんどが自身の病気と過去、両親や元配偶者への形を変えた呪詛であったためか、生い立ち以前の両親の出会いから始まるその詳細な自分語りによって公開された膨大な個人情報は、赤の他人をして当人の履歴書を作成せしめるに十分な内容なのだから、そのサイトを熱心に観察していた者の誰かが今後“彼女”を名乗ってサイトを再開する可能性もなくはないということなのだ。

 たとえ“オリジナル”がすでに消失していたとしても……。


“クサナギツヨシ”を漢字で表記する

初出:
2005-01-14

 SMAPのメンバー・クサナギツヨシの“ナギ”という字は、“弓”偏に“剪”と書きますが、この文字はJISコードの第一/第二水準には入ってはいません。

 Windowsでは拡張領域に独自コードで“ナギ”を含む300文字程度を割りつけてあるので、文字そのものは表示できるのですが、Web上ではWindowsとは異なる文字コードを採用している環境も存在するので、一般にそういった機種依存文字は使うべきではないとされています。そのためクサナギツヨシを全部漢字で表記しているサイトは少数派で、Googleで検索してみると、

“クサナギツヨシ”と表記しているもの
21300件
“くさなぎつよし”と表記しているもの
12500件
“草なぎ剛”と表記しているもの
94500件
“草ナギ剛”と表記しているもの
5980件

 全部かな/カナ表記とかな/カナ混じり表記に加えて、間違った表記であることを承知の上で“草薙剛”と表記した7,780件を含めて、オリジナルの“草彅剛”と表記した8880件を遥かに上回っていました。

 とはいえスッキリと漢字表記できないのがどうにも隔靴掻痒という気がしますが、機種依存文字を使わずに“草彅剛”と表記する手段はないものなのか? 生憎ケータイは対応していないようですが、Unicodeに対応したwwwブラウザなら“数値文字参照”に則った書き方をすることで一般に機種依存文字とされている文字も表示できます。

数値文字参照で表記したもの
草彅剛
機種依存文字で表記したもの
草g剛

 Windows上ではどちらも同じに見えるかもしれませんが、上のほうは彅の代わりにHTMLソース上で“草彅剛”と表記してあります。

 この方法は“ナギ”に限らず他の文字にも応用できるので、JIS第一/第二水準に含まれない漢字/丸付き数字/ローマ数字と半角カナを数値文字参照化するためのリストを作ってみました。ダウンロードして解凍後、読み込んだリストに従って一括処理できるSpeeeeedのようなツールで使うと便利です。

参考サイト 数値文字参照全コード表 >


不思議と知っているような名前だな

初出:
2005-01-11

 付けっぱなしにしていたラジオからNHK第一放送の『ラジオ深夜便』が始まった。

「今日のゲストは作家の……こさかゆうじさんです」

 こさかゆうじ……こさかゆうじ……聞き覚えのある名前のような感じがして自動的に古い記憶にアクセスする。もしかして“小阪裕司”?

 そうだとしたら、10年近く前に少しだけかかわったひとかもしれない。ネットを通じてほんの束の間だったが。

 確か京都に出かける前の晩『京都というのは名古屋よりもずっと西にあるのだ』ということをチャットで教えてくれたおかげで遅刻しないで済んだのだった。

 声を聞いてみれば解るかもと思って続けて番組を聴いてみるが、そんな気もするがそうではないような気もする。ネットでも調べてみたが今ひとつ確信は持てなかった。

 もし同一人物と確信できたらメールくらいはしてたかも。

「馬じゃない方の“ジェニュイン”って、結局どうなったんですか?」と。


悪霊の棲む家?

初出:
2004-02-04

#「それはあなたがシェルを顧みることのない、ゴーストしか愛せないひとだからです」

 とんでもないことが判明してしまった。

 今住んでいる一軒家に越してきてからというもの、やたら機械が壊れるのである。

(中略)

 技術方面に詳しい友人の話によると、近所に大きな工場がある場合、電圧が不安定になり、ときに一般家屋に必要以上の電気が流れるケースがあるらしいのだ。

 特に大きなアンペアを使用している家には太い線を通しているので、流れやすいという。

 そういえば、うちの近所には隣の市のゴミ焼却場があるし、アンペア数は「もうこれ以上大きくしたら工場扱いですよ」と電気屋さんにいい渡されたくらい、でかい。

 要するに、電圧変動があるたびに、機械の古い順、弱っている順に、ブッ壊れていく運命にあるらしいのだ、わが家は。

大原まり子著『ネットワーカーへの道』p.149〜150「風呂釜の呪いの巻」SOFTBANK,1994,8

 この作家の家に限らず、電源事情のために家電製品が相次いで壊れるという家は結構あるようです。

 試しにgoogleで『電源事情 昇圧』で検索してみると、常に安定した高品位な電気が供給されているハズのこの国といえども実際は電圧が低下していたりノイズが乗っていたりしていることが結構あり、そのためオーディオマニアの中には、昇圧トランスやオシロスコープまで持ち出して対策する方もいるそうな。

 実のところ家庭用電源電圧に100Vを採用しているのは世界の中でもこの国ぐらいのもので、大抵は低くても110V、高いところは220Vから240Vという状況なので、パソコンの電源のように世界市場を相手に商売をしている機材ではハナっから100Vなんぞ相手にはしてもらえず、115V/230Vを切り替えられる電源を115V側にすることでかろうじて対応してもらっているというカンジで、つまり電力消費が激しくて電圧が100Vを切るような環境ではてきめんに支障が出ることがあったとしても、さほど不思議なことでもないのかもしれません。

 とはいえ、原因が過電流にせよ電圧低下にせよ、その対象が大切なものならば、適正な調査と診断によって原因を特定し、十分な対策を取るのはさほど困難とは思えないのですが……ね。


『Yes, sir. Michael.』とでも?

初出:
2003-12-27

 いつのまにか『ナイトライダー』のDVDが出ていたらしく、しかも全話収録のハコ入りDVDではなくリーズナブルなベスト盤的二枚組みというので、「これはいい、愛車をほとんど擬人化して愛でているのに『ナイトライダー』を見たことがないという、最近結婚したあの女性に教えてあげよう」と思ったら、音声は英語のみの吹き替えナシだという。

 版元側の説明によれば、TV放送時にカットされて吹き替え音声の入ってない部分も収録したために英語音声のみの仕様ということにしたらしいのですが、折角のチャンスとはいえこれはちょっといただけません。

 『日曜洋画劇場』時代も含めてリアルタイムで見ていた世代にとって、やはり佐々木功の声じゃないマイケル・ナイトは認めがたいし、ナイト2000は野島昭生の声で『はい、マイケル』と言わなければならないのです。

 今回の企画の火元らしい『たのみこむ』にも、DVD発売の報に対して寄せられたのは喜びの声ばかりではないようでした。

 こうなると当時の日本語音声も収録したハコ入りDVDが出るまでファンは納得しないでしょうが、もしもこの一件がより渇望感を煽ってハコ入りDVDをすんなり買わせるための誘い水だとしたら、なかなか大したものですね:p。

 『エアウルフ』のDVDが出るときには、ベスト盤といえども日本語音声をキチンと収録して欲しいものです。


ありがちな予想

初出:
2003-12-27

 CFカードの裏表を確認せずにスロットに挿し、当然最後までキチンと入る訳がないのにムリヤリ押し込んでしまい、内部の電極ピンを曲げてしまうとか深部にダメージを与えて一枚も撮ることなく病院送り、に100フビン。


拡張子を変えてみたら

初出:
2003-12-12

 今まで掲示板にはとんと興味がなかったもので、Perlだのcgiスクリプトに関してはずっと見なかったことにしてきたのですが、最近正規表現によるテキスト処理をかじり出すようになると、もはやPerlをよけて通るのは困難だと感じるようになり、遅ればせながら所謂レンタル掲示板ではなく、自分用のサーバースペースとかレンタルサーバーにcgiを設置しているサイトがどういうことをやっているのかが気になってきました。

 で、その手の情報はネットにいくらでもころがっているので、なるほど.cgiとか.plという拡張子のファイルがキモだということが解ってきました。と同時によくあるWebサイトからのユーザー情報流出事故がどのようにして起きるのか? パスを刻んだだけでディレクトリが丸見えになって生のデータファイルがご開帳、という類いの、すっげぃ初歩的なレベルのサイトはさすがに最近は見かけなくなったとはいえ、では本来見えてはまずいファイルのアドレスを直接指定したらどうなるのか? さすがにもう対策が取られていてそんなサイトは今どきないだろうと思ったら、……あるんですね。

 ファイル名はそのままで拡張子をチョト変更するだけで、どのハンドルネームのひとが何時にどこから投稿していたのか? が丸解りになる掲示板って。

apeboard+という汎用cgiスクリプトを配布しているサイト辺りでは、セットアップの解説ページにデータファイルの名前はちゃんと想像されにくいようなファイル名に変更したか。って、しっかり書いてあるんですけどね。

 ひょっとしたらこの中には勤務時間中の私用アクセスをおおっぴらにできないような、お堅い職場から投稿しているひともいるんじゃないか? と、覗いているこちらの方が気まずくなりました。

 勿論投稿時にIPが表示される掲示板もありますが、そういうところには書く方もそれなりに覚悟してから書くでしょうから逆に問題は少ないでしょう。むしろ一見Webマスター以外にはIPが見えないハズの掲示板で、匿名だと思って暴言吐いたら実はカベが薄くて全員に正体がバレバレだった、という方が気がついたときに舌噛んで自害したくなる程恥ずかしくなるでしょうから、被害はこっちのが深刻かもしれません。

#実はWebマスターがワザとやってたりして:p

 とりあえず目についたところの何軒かに『見えてますよ』とメールしたら、早速修正した・なんか起きてから対策します・無回答と反応は様々でした。

 まぁ修正しなかったらところに出入りするときは、訪問する側がそれなりに対策するか、あるいは出入りしない、というのも一つの選択ですね。

 参考サイトを眺めた限りでは、知っていれば対策はそんなに難しくはないようです。

#で、新たに獲得した.htaccessの知識によって真っ先にアクセス禁止にされたのは、こういうコウルサイこと言うヤツだったというオチ:p。


映画『トーク・トゥ・ハー』

初出:
2003-11-01

 つくりものとはいえ、もしかして劇中のモノクロサイレント映画のシーンはこの国で最初の完全無修正?

 ただしミもフタもない程その滑稽な姿は、その本質を観る者に突きつけてくるのだが。


続・互換ソング

初出:
2003-10-28

 肝腎なのを一点忘れてました。

 前者は映画『害虫』の劇中歌。後者に至っては、言うまでもありません。

「我が君、このCDをお聴き下さい!」
「むっ? こ、これはかつてのあの名曲にそっくりではないか。即刻版元に抗議を!」
「はっ!」
「待て。我が君、私に考えがございます。抗議などしなくても要はこちらがオリジナルであることを誰の目にもはっきりさせればよいのです。ですからこちらも新曲の扱いであの曲のカバーバージョンを出しましょう。しかも今回はあえて女性ボーカルを起用し、より近しいリズムにアレンジして……」

 というやり取りがどこかであったのかは定かでありませんが、カバーバージョンの方が少しあとにリリースされたのは確かなようです。

 『害虫』はすでに好評レンタル中です。

googleで『島谷ひとみ 亜麻色の髪の乙女 櫛引彩香 帰り道』を検索 >


互換ソング

初出:
2003-10-26

 八代亜紀の『舟歌』と『てんとう虫のサンバ』は互いに曲を入れ替えても歌うことが可能らしい。

 そういえば大昔、S.E.Tのメンバーが水戸黄門の主題歌『ああ人生に涙あり』と『どんぐりころころ』をやはり互換させて歌っていたのをTVで見た記憶がある。

 試しに『どんぐりころころ 水戸黄門』をgoogleであたってみると、262件ヒットした。

 で、やっぱりこういうのがあるのね。

『ああ人生に涙あり』の節で歌うことの出来る歌のリスト

 59曲って……。

 他ここに載ってないものでは、山本リンダ『どうにもとまらない』も可能だと、唐沢俊一のサイト『一行知識ホームページ』過去ログに載っていました。

 ここからちょっと拾ってみると、

 探せばもっと見つかるでしょうが、試験とか締切の前日とかには絶対に読まないように。

 きっと読み始めると止まらなくなるから。


『西武新宿戦線異状なし』完全版

初出:
2003-10-19

 先日とある方の日記サイトを見て、関連リンクを辿ったところ、原作=押井守/作画=大野安之によるいにしえの漫画『西武新宿戦線異状なし』の完全版が角川書店からすでに出ているのを知り、別件で書店に寄ったついでに探してみたところ、運良く見つけることができました。

 '94年に出た日本出版社版はすでに持っているので、それより一回り小さくなった今回の角川書店版を買う必要はとくにないのですが、一応書き下ろし新作部分が追加されているしィ、すぐれた著作物には代価を払って評価してやらないとブンカがトダエテ云々で、お買い上げ。

 結構な年月を経て追加されている書き下ろし部分は、主人公丸輪零の目が少しだけぱっちりしているように感じる以外はとくに違和感はなく、巻末に押井守直筆のセイガク・カントク・トッつぁん・トメのキャラクターデザイン原案画が載っているのは日本出版社版でも同じですが、今回は大野安之によるキャラクター設定画も追加されていました。

 ところでヒロインのケイだけがどちらの版のキャラクター原案画にも載ってないのはなぜか?

 それは、バンダイの今は亡き模型雑誌『B-club』に掲載されていた近藤和久作画による幻の初期バージョンでは、ケイのポジションには鎌という名の切れ者風中年男が座っていたからです。つまり原案画の段階ではケイという若くて美人のキャラクターは存在しなかったんですね。

 セリフの一言一句に至るまで現行版と変わらなかった初期バージョンは、ACT3『出撃編』で橋の上の障害物を回収車のデモリッションガン(破砕砲)で橋ごと吹き飛ばしたところで連載打ち切りになりましたが、もしあのままケイ役を男の鎌が演っていたとしたら、後半のストーリーは全然違うものになったことでしょう。

少なくとも零と鎌が“相互理解”を深めて、零が自分を『男にしてくれた』鎌を命懸けで救出しようという展開はムリがある訳で、それを承知で強引に現行のストーリーに続けると……。

『あああああああ!!』
『ゴーモンされるんだ!! あの鎌さんがっっっ!! 剥かれ! 縛られ!責められ! あの美しい肉体にありとあらゆる恥辱を受けるんだ! 野獣のような連中にっっッ!!』
『よってたかって凌辱されるんだあああああああああ!!』

角川書店版『西武新宿戦線異状なし』P.173〜174より(人名のみ変更)

 ……やはり初期バージョンはなかったことにしておくのが正解のようです。

角川コミックス・エース『西武新宿戦線異状なし』原作:押井守 作画:大野安之 B6版 本体価格\780(税別) ISBN4-713492-9 c0979


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