私自身は縦書きのテキストにとくにこだわりがある訳ではないのですが、必要に迫られていざ探してみると、縦書きのできるテキストエディタでフリーソフトというのは案外多くありません。
シェアウェアでなら、『テキストエディタQX』『MMエディタ』辺りが老舗として有名ですし、日本語テキストエディタの代名詞的な『秀丸エディタ』までも近年縦書きに対応したこともあって、かつて存在していた縦書き対応のフリーエディタを検索してみると、作者のサイトごとなくなっていたとか、更新が停止していたとかで、最近のOSに対応したものを見つけるのは結構時間がかかります。
勿論シェアウェアですでに評価の高いものを使うのが手っ取り早いのですが、ライセンスの都合上、職場の複数のマシンに片っ端からインストールする訳にもいかなかったりするし(もっとも最近はパッケージ以外のインストール自体ご法度だったりしますけど)、その手の紹介サイトはネタが結構古びてしまったところもあるし、現在フリーでどんなものが使えるのか、ちょっと調べてみました。
尚テストは今時Pentium3/800MHz+Windows2000SP4上で行っています。
チェック項目に『表示フォントをIPA X0208にできるか?』とあるのは、MSゴシックに比べてペ(pe)・ベ(be)、パ(pa)・バ(ba)の判別しやすいフォントデザインが気に入って最近使っているIPA謹製のフリーフォントIPA X0208が使えるかどうか? という意味です。このフォントはプロポーショナルフォントが明朝体とゴシック体とUI体(?)、等幅フォントが明朝体とゴシック体の全五種類も揃っているのですが、プロポーショナルフォントに対応しているエディタでないと何故か等幅フォントのIPA X0208ゴシックすら選択候補に入らないのです。
参考画像:IPA X0208とMS Pゴシックの画面写真。共にフォントサイズは16に設定
単なる縦書き編集だけでなく、罫で囲って原稿用紙を模した表示もでき、PPA(Poor-Pascal for Application)によるマクロやアウトラインプロセッサも搭載した、縦書き云々を抜きにしても充分高機能型に分類されるエディタ。
原稿用紙との余白も含めた、文字間・行間の両方を変えられるだけでなく、必要に応じてふりがなを表示したり、フォントのアンチエイリアス化もできるので、縦書きのできるフリーエディタが必要になったときは、これさえあれば大抵の用途をこなせることでしょう。
もともとはMacintosh用のワープロ=LightWayTextを祖とする、それゆえ所謂テキストエディタとは毛色というか作法がかなり異なる。.RTF形式や独自拡張の.ITE形式での編集・保存が可能。
テスト環境で使ってみた限りでは、何故かフォントが指定したサイズより一回り小さいものが表示され、縦書き状態で画面をマウススクロールさせると、標準ドライバでは何故かホイールを通常とは逆方向に回転させないと文章の続きを読むことができませんでしたが、これがテスト環境固有の問題なのか否かは不明です。。
三色あるCoolMintシリーズのフリーバージョン=yellow。但しその更新が20世紀末に途絶えてから久しい。
ツールバーのボタンをワンクリックで縦横が切り替えられるのは便利。
残念ながらデフォルトのWindows2000・XP環境ではマウスホイールによるスクロールが効かない。ホイールスクロールを効かせるにはフリーソフトの『どこでもホイール』等の助けが必要ですが、テスト環境の液晶15インチ画面では縦のスクロールバーが少し残ってしまうせいか、残念ながら縦書き表示状態で横方向(文章を読み進む方向)にスクロールすることはできなかった。とはいえ代わりにPageUp/Downキーで左右に画面繰りができるので、ショートカット派なら無問題かも。
Windows側の都合で、Windows2000ではRichEd32.dllを、WindowsXPではRichEd32.dllとGapi32.dllを追加しないと縦書きにはできないとのことです(入手方法は最新版を公開しているサイト参照)。
行間ピッチも文字間ピッチも変更できないし、一行文字列の長さも画面内で折り返しか折り返さないの二種類しか選べない。
漢字を使ったツールバーも含めてかなり癖が強いですが、縦書きへのこだわりの一環としてHTML化も含めた各種文字列の変換機能が充実しています。
面白いと思ったのは、文字列変換機能の処理にObject Pascal codeとやらを使っているので、うまく改変すればパターンマッチングによるテキスト一括置換マクロとして使えるかもしれません(作者には不本意でしょうが……)。
最終更新は20世紀末で、事実上の更新終了状態。
所謂メモ帳風のエディタで、矩形処理はできない代わりにプロポーショナルフォントにも対応しています。メモ帳だから当然行間ピッチも文字間ピッチも変更できませんし、一行文字列の長さも画面内で折り返すか折り返さないかしか選べません。
作者サイトのトップからはリンクされてないが、検索するとヒットするダウンロードページに『注: Windows 2000では縦書き編集ができません。』といけずなことが書かれていますが、wakatonoと同様にRichEd32.dllをフォルダにコピーしてやると、一応縦書きでも使えるようになります(勿論実行は自己責任で)。
これも最終更新は20世紀末で、現在は作者のサイトもない。
これまたメモ帳風のエディタで、しかも縦書きしかできないという大変漢らしい仕様ですが、wakatonoやNotepad Plus!と同様フォルダ内にRichEd32.dllがないと自動的に横書きになってしまいます。
プロポーショナルフォントにも対応していますが、行間ピッチも文字間ピッチも変更できないし、一行文字列の長さも画面内で折り返しか折り返さないしか選べないのも同様。
これもWindows2000登場以前に更新終了らしい。
例によってメモ帳風の縦書き専用・要RichEd32.dllと、前項の『縦書きメモ帳』と、ほとんど区別がつかないが、置換できない代わりに自動バックアップができるのが数少ない相違点か。
VerticalEditor以外は皆古い時期に開発されたものなので、文字コードもシフトJISにしか対応していませんでした。
更新が続いているのもVerticalEditorで、事実上縦書き編集のできるフリーのテキストエディタに選択肢はない、と言えるでしょう。
ついでながら今回の調査で、縦書きかプロポーショナルフォントに対応しているエディタでない限り、現段階ではIPA X0208フォント(等幅フォント含む)には対応できない、ということが解りました。