ココが変わった〈改〉と無印 〜『戦闘妖精・雪風』〜

最終更新:
2007-11-19
初出:
2006-02-17

前口上

 このページは、1984年に早川書房刊より刊行された神林長平氏のSF小説『戦闘妖精・雪風』(以下『無印』と表記)と、2002年に同一の作者/出版社によって改定版として刊行された『戦闘妖精・雪風〈改〉』(以下『〈改〉』と表記)の内容を比較して、どこがどうのように変わったのかを元に、作品世界の変化その他を考察する目的で、あくつ が作成しました。従って単なるカタカナ表記の整理や数詞の変更と描写の違いに関しては除外し、ストーリーに関係した、あるいは今後関係してくるかもしれない部分のみピックアップしてあります。

#「別に貴様の考察などに用はない。双方の相違点だけをリストする方が遥かに有用だ」という意見はもっともですが、著作権法に基づく引用の定義を遵守しようとすると、引用部分だけ並べるのは不許可なんですな。あくまでもそれに言及した本文がないと。という訳でデータのみのリストというのはあきらめるかご自分で作って下さい。

 小説本文を比較する性質上、小説の文章自体が必要になるため、著作権法で認められている(と思われる)範囲で原文を引用させていただきました。けしてネタバレその他で作者の神林氏と版元の早川書房の著作権や利益を損なうことを目的としたものではありません。

 但し正当な著作権の保有者から連絡があった場合は、可及的速やかに削除や変更その他当方でできる範囲の対応をさせていただきますので、あくつ への連絡ナシに直接プロバイダ宛てに削除要請を出す、といった強硬な対応は避けていただければ幸いです。

 尚Web上にHTML文書として公開する都合上、縦書きで一行の文字数が固定されている原文を横書きに変更し、しかも画面のサイズ・解像度によって一行の文字数が変動する体裁になっていることをあらかじめお断りしておきます。

 参考までに、印刷物の『無印』は、壱ページ当たり43文字×19行で組まれていましたが、時代の趨勢によるものか、現行の『〈改〉』では文字の級数が大きくなっていて、壱ページ当たり39文字×17行で組まれています。

I. 妖精の舞う空

罪状不明な深井零少尉

 そも深井零少尉は何をしでかしてフェアリイ送りという流刑者になったのか?

おれは昔から変わってはいない。おれは性能の悪いやつは嫌いだ。人間も機械もだ。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.38 15-16 より引用)

おれは昔から変わってはいない。ややこしい人間関係が耐えられず、職場に火をつけてフェアリイに来たんだ。

(『戦闘妖精・雪風』p.33 12-13 より引用)

 これだけを読む限り、少なくとも『無印』での深井零少尉は、自分で起業とか自営とかではなく、他者によってすでに構築済みのシステム(会社とか)に就職という形でその内部に参加し、それによって得た対価で暮らしを立てていこうとする程度の社会性や協調性を有していたということになります。少なくともコミック版『YUKIKAZE 1 戦闘妖精』のように、パーキングメーターの小銭を盗むとか窃盗団の運転手のような反社会的な生き方はしていなかったと。もっとも、ジャムのいない世界だったとしても、果たしてそれが長続きしたのかどうか……。

 ちなみにこの罪状部分、初出の『SFマガジン』掲載版では、非効率的だからという理由で博物館に収蔵してあった蒸気機関車を爆破したことになっているそうです。『〈改〉』ではその辺りを匂わせているのかもしれません。

「何をやってフェアリイに送り込まれた。女か」
「……傷が疼く──いや、些細なことさ。博物館のSLを爆破したんだ。効率の悪い機械が憎かった。あの太い胴体には原子力タービンが入っているのかと言ったら館長に笑われた」

(SFマガジン1979年11月号『妖精が舞う』p.39 より引用)

 ……ごっついことしでかしてますね。(2006-05-19追記)

 しかしコレ効率の悪い機械が“キライ”とか“許せない”を通り越して、“憎い”とまで言わしめる心情って一体どこから来たのでしょうね? 子供の頃野良機械に噛みつかれたとか?:p

 もっとも爆破というからには当然何かしらの爆発物を使ったと思われますが、外部から調達するにしろ、ネットその他の情報元を基に自製するにしても、少なくとも実行するときには深井零君は中学生以上の年齢にはなっていると思うのですが、果たしてそういう年頃になっているのにもかかわらず、蒸気機関車がどういうカラクリで動いているのかを知らない男の子って有りえるものでしょうか?

 かと思うと、列車という移動体の動力源に原子力という選択肢が出てくるところを見ると、案外この時点での雪風世界とは、蒸気機関車の存在自体が知られていないような、とんでもなく未来の世界が舞台だったのかもしれません。

 で、犯行当時15歳だった深井零少年は、ネオ少年法に基づき、地球での懲役の代わりにフェアリイ送りを選択した、と。……ィャだってそんな馬鹿馬鹿しい動機で自分の人生まで吹き飛ばすような犯罪をしでかすような奴って、子供しかありえんでしょ(最近はそうでもないか)? まして全世界規模で30年も戦争し続けていれば大人の頭数とて払底するだろうし。

 劇中で具体的な年齢が書いてない以上、読者が『ははぁコイツはきっと子供に違いない』と解釈しても構わない訳ですし、15歳で島流し+5年経過だったらシルフ撃墜疑惑事件=20歳位とそれなりに辻褄は合う訳で、まぁアニメ化するんだったらそれもありがちで悪くはないような気もしますが(おお坊や馬鹿なことを)、無印では一冊揃った段階での整合性を得るために『職場に火をつけた』に直して、少なくともタイプライターが現役な時代に社会に出た程度の年齢になっていることにしたのではないかと、愚考する次第。

凛々しくなったクーリィ准将

 続篇の『グッドラック 戦闘妖精・雪風』(以下『グッドラック』と表記します)で一番変わったのは、実はクーリィ准将ではないでしょうか。

「あれほど口出しするなと言っておいたのに、なんてこと。――コーヒーは」

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.62 6 より引用)

「あなたには関係ないこと、深井中尉。あなたは本日付けで中尉。……退室してよし。いまの任務は続けること。以上だ。質問は」

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.62 12-14 より引用)

「あれほど口出しするなと言っておいたのに、なんてこと。――コーヒーは」

(『戦闘妖精・雪風』p.53 4 より引用)

「あなたには関係ないことです、深井中尉。あなたは本日付けで中尉です。……退室してよろしい。いまの任務は続けること。以上だ。質問は」

(『戦闘妖精・雪風』p.53 9-11 より引用)

 『無印』でのクーリィ准将にはあった女性的な言い回しが『〈改〉』ではなくなり、より中性的というか宝塚の男役みたいな感じがします

 『グッドラック』以前の、『無印』しかなかった頃のクーリィ准将はリディアというファーストネームすらなく、ブーメラン戦士ではないがゆえにグノー大佐のセールストークにひっかかるわ、無礼な部下に対して怒りをあらわにするわ、雪風の凄さが解らずファーンIIを誉めるわと、何というか、そこにいた中間管理職がたまたま齢を経た女性だったという以上の存在理由はなかったような感じがしたものです。

 ところがこれが『グッドラック』になると、あたかもクーリィ准将役の女優が交代でもしたかのように俄然カッコ良くなり、たとえ相手が神であろうとおかまいなしに「我こそはリディア・クーリィ也!』と宣言するような、凛々しくしたたかな存在として描かれているように思います。その『グッドラック』との連続性を維持するには、『〈改〉』でのクーリィ准将も遡って変わる必要があったのではないでしょうか。

フェアリイへの道

フェアリイ基地は地下にある。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.42 16 より引用)

フェアリイ基地は地下にある。地球への「通路」行のモノレールも地下を走った。その両端の駅には憲兵隊が配備されている。名目は憲兵隊だったが実際は「通路」からの侵略に備えている精鋭実戦部隊だった。地球からいったいだれが攻めてくると軍当局は思っているのか零には見当もつかなかった。

(『戦闘妖精・雪風』p.36 18-p.37 2 より引用)

 『グッドラック』では深井零その他の退役軍人数名程度を地球へ移送するためだけにわざわざシャトルを飛ばして超空間通路を通っているのですから、実は陸路が存在しては気まずかったのかもしれません。もっとも基地建設に必要な膨大な建設資材や機材・人材までも地球から空輸していてはコストが高すぎるでしょうから、できあがってから撤去したのかもしれません。

II. 騎士の価値を問うな

ジャムってなんじゃむ?

 ジャムの巡航核ミサイルを迎撃するフリップナイトと、それを電子偵察する雪風。

「ジャムの正体がわからないから、なんともいえないが、おそらくあれは自己誘導機能を有する機械だろう――フリップナイトのような」

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.106 14-15 より引用)

「ジャムの正体がわからないから、なんともいえないが、おそらくあれは自己誘導機能を有する機械だろう――フリップナイトのような」

(『戦闘妖精・雪風』p.90 17-18 より引用)

 ジャム人という表現からすると、どうやら『無印』では、ジャムの戦闘機の向こう側に“宇宙人”というか、根拠はないがとにかく生き物がいるに違いないという前提で戦っていたようです。

III. 不可知戦域

フェアリ空軍の編成

 不可知戦域から脱出した雪風ご一行。

戦術空軍はしかし、航空宇宙防衛軍団のような愚かしい行動はとらなかった。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.159 2 より引用)

戦術空軍はしかし、防衛空軍のような愚かしい行動はとらなかった。

(『戦闘妖精・雪風』p.135 13 より引用)

 FAFの編成は少し異なっているようです。防衛空軍は最初の軍事法廷に出てきた航空宇宙防衛軍団に統合されたのかもしれません。

むは

 不可知戦域から帰還後の昼食時の出来事。

「ああ、それね。『ミード夫人の家庭料理百科』だよ。最近料理に凝りだしたんだ。おまえもどうだ?」
「遠慮しておく」と零。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.160 10-12 より引用)

「ああ、それね。『ミード夫人の家庭料理百科』だよ。最近料理に凝りだしたんだ。おまえもどうだ?」
「むは」と零。

(『戦闘妖精・雪風』p.136 18-19 p.137 1 より引用)

 むはがなくなった! むはがなくなった! むはがなくなった! むはがなくなった!

 確かにストーリーには関係はないかもしれない、しかし!

IV. インディアンサマー

情報軍? 情報局?

 空中空母バンシーの異常の原因はジャムではなく、地球から破壊工作だとしたら?

「あたりまえだ。そんなことを軽軽しく言ってるとFAF情報軍にしょっぴかれるぞ。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.175 3 より引用)

「あたりまえだ。そんなことを軽軽しく言ってると空軍情報局にしょっぴかれるぞ。

(『戦闘妖精・雪風』p.151 4 より引用)

 情報局→情報軍になったのかと思いきや、実は『グッドラック』では『情報局の実戦部隊、FAF情報軍だ』というセリフがあるので、この両者は別物で上下関係にあるのでしょうか?

 もっともOVA版『戦闘妖精雪風』に合わせて刊行された『戦闘妖精・雪風 解析マニュアル』に収録されていた『神林長平ロング・インタビュウPART1』によれば、『グッドラック』執筆時に『無印』を参照したり組織図を作ることなく書いたため、結局『〈改〉』が出ても完全な整合性はとれてない、とのことです。

V. フェアリイ冬

必ず帰還せよ

 すでに着陸態勢に入ったのに、滑走路前方にはなんとモーターグレーダが!

 後席のフライトオフィサ、バーガディシュ少尉が異常に気づいた。前方の障害物を回避するには上昇するしかないが、着陸をやり直すための燃料はない。胴体着陸を敢行するため余剰の燃料を投棄していた。上昇するにしても間に合いそうもない。このままでは激突する。
「脱出だ、機長」
「回避する」
「間に合わない」
「脱出を許可する。きみだけ行け」
「了解だ」

 バーガディシュ少尉は素早くフェイスカーテンハンドルを引く。キャノピが射出――されない。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.253 5-14 より引用)

 背後に衝撃音を聞いた。後部座席がキャノピを突き破って射出。零はそのままだった。バーガディシュ少尉は機長の零の指示どおり、射出コマンドモード・レバーを自席のみ射出に合わせて、単独で射出した。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.254 16-17 p.255 1 より引用)

 後席のナビゲータが異常に気づいた。彼はフェイス・カーテン・ハンドルを引く。キャノピが射出――されない。

(『戦闘妖精・雪風』p.216 3 より引用)

 背後に衝撃音を聞いた。ナビ座席がキャノピを突き破って射出。零はそのままだった。ナビは射出コマンド・レバーを両席同時射出に合わせる余裕はなかった。

(『戦闘妖精・雪風』p.216 19 p.217 1 より引用)

 長々と引用しましたが、異常に気が付いたフライトオフィサ=バーガディシュ少尉が『無印』では即座に脱出行動に移っているのに対し、『〈改〉』では機長の意志を確認してから脱出行動に出ています。それだけパイロットとの間に信頼関係ができていることの証かも知れませんが、『味方を見殺しにしても必ず帰還せよ』という特殊戦という任務の性質からすると、状況に応じて見殺しにする対象に機長が含まれていてもなんら不思議はない訳です。

 機長の意志がどうあろうとお構いなしに脱出シーケンスを実行するフライトオフィサの方が、より特殊戦テイストと言えなくもないでしょう。逆に機長の深井零中尉は、後席のフライトオフィサのことを気遣うだけの人間性を『〈改〉』になって獲得したのかもしれません。

VI. 全系統異常なし

とくになし

 目立った変更点はとくになかったと思いますが、「ある!」と言う方はご指摘願います。

VII. 戦闘妖精

ワーカムって何の略?

 つかの間地球に立ち寄り、再び還っていく“フェアリイ星人”を見送る、ジャーナリスト=リン・ジャクスン。

 わたしはバッグから愛用ノートとペンを出す。海を見ながら語ったブッカー少佐の言葉を書きつけながら、ハンディワーカムを持ってくればよかったと思い、そしてふと少佐の忠告を思い出してかぶりを振った。

 ワーカムで書いたらきっと違う内容になるだろう。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.324 7-10 より引用)

 わたしはバッグから愛用ノートとペンを出す。海を見ながら語ったブッカー少佐の言葉を書きつけながら、ハンディワープロを持ってくればよかったと思い、そしてふと少佐の忠告を思い出してかぶりを振った。

 ワープロで書いたらきっと違う内容になるだろう。

(『戦闘妖精・雪風』p.277 1-4 より引用)

 『〈改〉』での地球は、ワープロではなく神林世界のガジェット=ワーカムが存在する世界になりました。

#でもその割に遥かフェアリイ星では未だに紙に直接インクを打ち出す“タイプライター”が使われているようですが。

 ところで“ワープロ”とはワードプロセッサ(Word processor)のニホンゴ表記ですが、略語でないワーカムは何と表記するのでしょうね? オフィシャルな英文の綴りは存在しないようですが、訳語が“万能著述支援機械”に当てはまりそうな単語って一体どんなものがあるでしょう?

 ワーカムの“ワー”はWord(ワード)の略? それともワールド(World)? じゃあ“カム”は……?

VIII. スーパーフェニックス

ただ一機のFRX00

 次期新戦隊機導入を決定した特殊戦。

結局、戦術空軍はブッカー少佐の案を試験的にとり入れることを決定し、新戦闘機は有人タイプと無人タイプの二種を製造することとなった。プロトタイプの設計変更で有人タイプの試作機が一機、完成した。実戦投入予定は十三機のみ。ブーメラン戦士と同じ数。

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.335 3-6 より引用)

結局、戦術空軍はブッカー少佐の案を試験的にとり入れることを決定し、新戦闘機は有人タイプと無人タイプの二種を製造することとなった。プロトタイプの設計変更で有人タイプができあがった。計画ではその数は一三機のみ。ブーメラン戦士と同じ数。

(『戦闘妖精・雪風』p.287 12-14 より引用)

 そして最後の有人飛行中に消息を断った雪風。

「その必要はない。そんな余裕はない……少佐、わが戦隊に引き渡されたFRX00の試験飛行計画を提出しなさい」
「――雪風はどこかの前線基地に降りているのかもしれない。FRXに偵察させることを許可してください、准将」
「FRXの実戦評価試験のフライトコースはあなたに任せる。――でも雪風は見つからないだろう。どこの基地からも連絡はない」

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.356 4-9 より引用)

「その必要はない。少佐、FRX00の訓練飛行計画を提出しなさい」
一三機のFRXはそろっていますよ。明日から一機ずつ飛ばします。――雪風はどこかの前線基地に降りているのかもしれない。FRXに偵察させてもいいですか、准将」
「フライト・コースはあなたにまかせます。――でも雪風は見つからないでしょう。どこの基地からも連絡はない」

(『戦闘妖精・雪風』p.305 4-8 より引用)

 〈改〉では複数の単語からなるカタカナ語からナカグロ(・)が消えたほかに数詞の表記法が変わり、一三機ではなく十三機といったいわゆる『トンボの十』が使われるようになっただけでなく、時間の表記にはアラビア数字も使われるようになりました。

 クーリィ准将の口の利き方が変化したことは前述しましたが、やはり『〈改〉』の最大の変更点は、FRX00が試作唯一機しか存在しないということです。

 ただそうなると、逆にこの部分はちょっとつらいかも知れません。

『特殊戦第五飛行戦隊の新三番機であるFRX00に、わたしの中枢機能を転送する』

(『戦闘妖精・雪風〈改〉』p.373 15 より引用)

 まだ試作品の一機しかないのに、一番機も三番機もないだろ? と思うのですが、どうでしょう? ここは雪風がついに自我というかその本性を現したシーンの、決め台詞だけに変えにくかったとは思いますが、“新一番機”だったらさほど違和感は感じなかったものを。

 話の上でも、『無印』ではブッカー少佐が明日から一機ずつ飛ばしますと言っているので、ジャムの魔の手から脱出した雪風と深井零中尉がこの世界に戻ってきたのは、十三機あるうちの三番機が飛行した日=失踪から三日目ということになりますが、一機しかない『〈改〉』の世界であれば、別に三日目とは限らなくなった訳です。

 もっとも『III. 不可知戦域』篇では異空間に過ごした時間は現実世界では30秒しか経っていなかったようですから、別に三日目でなくても問題はないのですが。

解説は大元帥

 『無印』巻末に収蔵されていた全5ページの解説は、野田大元帥こと野田昌宏氏の手によるものです。タイトルは〈雪風〉の原型がトムキャットか否かはこの際どうでもよいとして……でした。

 野田氏は戦闘偵察機・雪風の原型を、固定翼という違いはあれど全長と全幅から判断して、米海軍の戦闘機・F-14トムキャットがほぼ近いのではないと推察したなさったようです。

 ところで『野田大元帥』という言葉の意味が解るひとって、もう結構イイ年? 野田氏のプロフィールをわかる範囲で書くと、TV番組制作会社の社長にして、SF作家でもありまた翻訳も手がける才人、とでもなりましょうか。当時は丸いおなかと三角まゆげが外見上の特徴の方でした。

参考文献

 本稿の作成にあたり、以下の書籍・文庫本を参考にさせていただきました。作者と版元の皆様に感謝します。


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